上司と部下の関係とは、とても複雑なものです。立場も状況も異なるのですから、良好な関係を築いていくのは難しいものでしょう。
しかし関係が悪化したままだと業務に支障が出てしまいます。あなたの将来にも悪影響が出てしまう可能性もあるでしょう。
早い段階で、上司と部下の関係を改善することが必要となります。少しでも良好な関係になることで、お互いの負担や不満を減らすことができるのです。
そこで今回は、上司と部下の関係を改善する方法を紹介します。修復不可能になる前に、ぜひ参考にしてみてください。
上司と部下の関係を改善する方法とは?
自分と相手の関係性を見つめ直す
まずは、なぜ上司と部下の関係が悪くなったのかを知る必要があります。なんとなく溝ができてしまったのでは、埋める方法がありません。
曖昧なことをなくせるように、関係性について見つめ直すことから始めましょう。では関係性を見つめ直す方法を紹介します。
なぜ関係が悪化したのか原因を考える
関係が悪くなるのには、原因があるはずです。最初から価値観が合わないということがあっても、急に関係が悪くなることはないですからね。
その原因となった出来事やきっかけを考えてみてください。きっと思い当たることが、いくつか頭に浮かぶはずです。
- 自分が大きなミスをしてしまった
- 上司に対して異論を唱えてしまった
- 大事な会議に遅刻してしまった
- 思わず失礼なことを口にしてしまった
- 別の上司のことを褒めてしまった
このようなことがあってから、悪化をしてしまったのではないでしょうか。原因はどこにあるのかという核心がわかれば、改善していく方法も見つかります。
曖昧なまま『なんか関係が良くない』という状態にしておくのが最も危険です。冷静かつ客観的に原因究明に努めてみてください。
もし自分に大きな非がある場合には、謝罪するようにしましょう。また言動を改めるように意識してみると良いです。
先入観や偏見を消す
上司と部下の関係が悪い時、どこかで偏見や先入観を持っている場合もあります。『上司だから』『部下だから』と何か悪い印象を勝手に持っていないでしょうか。
周囲からの評判などから先入観を持っていることもあります。『あの上司は悪い』と聞いたら、それがインプットされてしまうのでしょう。
自分が悪いことをされていないのに嫌悪感を抱いてしまいます。そして自然と関係が悪くなってしまうのです。
一度怒られただけで『恐ろしい人』だと偏見を持ってしまうこともあります。見た目や声だけで勝手な偏見を持つこともあるでしょう。
しかし社会人であれば、周囲の評判や一度だけの出来事で決めつけることはやめましょう。自分の目や心で強く感じたことのみ信じてください。
先入観や偏見をなくしてみると、意外と相手がクリアに見えてきます。何が嫌だったのかと考えを改めることはできるはずです。
自分が譲歩できるとことを考える
上司と部下で、仕事に対する意見が合わないこともあるでしょう。常に対立してしまうことから関係が悪くなってしまうのです。
しかし相手は立場の異なる人です。上司には上司としての立場や考えがあります。また部下にも部下なりの目的や意志があるのです。
まずは相手の立場も考えてみましょう。そして仕事で対立した時でも、自分が譲歩できる部分はないかと一度考えてみてください。
例えば、部下がどうしてもやりたい企画があるとします。しかし上司は企画に対して反対し、意見を認めてくれません。
お互い頑固になるだけでは、関係は悪化する一方です。不満やストレスばかりが積もっていくことでしょう。そこで一度見方を変えてみてください。
上司の心情としては、
- 今この企画をしても上手くいかない
- リスクが高すぎる
- 会社の損失になる
- 周りの部下に負担がかかる可能性がある
という考えがあるからこそ反対しているのです。
一方の部下の心情としては、
- 自分の力を試してみたい
- とても自信のある企画だからやりたい
- 人に迷惑をかけない
- 会社に貢献したい
- 失敗してもやってみたい
という思いがあります。
それぞれの心情を考えれば、どちらも悪いわけではありません。自分や周囲のことも考えたうえでの意見なのです。
そこで部下は、反対されたのは意地悪ではないと知ることが大切になります。上司の心情には、部下や会社のことを考える気持ちがあるのです。
時には反対しなくてはいけない立場でもあります。自分のやりがいのために上司を困らせてはいけないと考えてみてください。
もし企画が通らないのであれば、譲歩して企画が通るようなものを再度提出してみましょう。会社や周囲にとって良い企画を出せばよいのです。
また上司も部下の気持ちを察して、企画を上に通すくらいはしてあげても良いでしょう。そのうえでダメだったのであれば、部下も納得できます。
お互いの気持ちを考えて譲歩し合うことで、関係は良好になっていきます。自己中心的な考えをしないようにしてください。
相手の長所を書き出す
関係が悪くなると、つい相手の悪いところばかりが目につくようになります。短所ばかりみてイライラしてしまうのです。
しかし誰にでも長所はあります。また長所と短所は表裏一体でもあるので、考え方を変えると悪い部分も良く見えることもあるのです。
そこで『長所』のみに限定して考えてみましょう。相手の長所をまずは10個紙に書き出してみてください。
- とにかく融通が利かないほど真面目
- 曲がったことが嫌いで常に真っすぐ
- 裏表がなく言いたいことは口にする
- 仕事に厳しいが自分にもストイック
- いつも人にはないアイディアを出す
真面目で融通の利かない嫌な上司なのかもしれません。しかし裏を返せば、このような長所にもなるのです。
もしかすると他の上司は怠けてばかりの人もいるかもしれません。不真面目でルーズな上司だって多いでしょう。
比較すると、自分の上司は尊敬できる上司に見えてきますよね。物事はすべて二つの方向から見ることができます。
一方からの短所ばかりではなく、その裏にある長所を意識してみましょう。良いところを認め合えるようになるのです。
自分自身を見つめ直す
上司と部下との関係が悪い時、お互いに相手のせいにしていないでしょうか。しかし原因は自分にあることも多いです。
そこで自分自身の仕事や言動について、見つめ直してみてください。そこで反省点や改善点を見つけていきましょう。
- 上司に対して失礼な態度はないか
- 勤務で自分に悪いところはないか
- 周囲への気配りはできているか
- 仕事の方向性に間違えはないか
- 関係が良くなるよう少しでも努力しているか
問いを投げかけてみると、意外と自分に悪いところがあったことに気づくこともできます。そうすれば自分を改めることができるでしょう。
一方的に相手を悪にせず、まずは己を見つめてみてください。言動を改めることで関係が改善していくこともあるでしょう。