上司との面談:事前準備
個人目標について準備する
仕事では、個人での目標を立て実施していく必要があります。目標に対しての意欲や成果、また達成度によって評価されることが大きいです。
受け持っている業務はいくつかあるでしょう。まずは業務の重要度を比率(%)で分類してください。そして各々に対する計画を立てます。
『いつまでに』
『何を』
『どのように』
計画は目標ではないので、現実的にできることを考えてください。この計画が遂行できなかった場合は、次回の評価でマイナスになってしまいます。
しかし自分に甘い計画を立ててしまうと、今回の評価を下げる一因にもなるでしょう。きちんと適切な計画を立て、個人としても会社としてもプラスとなるようにしてください。
目標は具体的に数値で表せるものに関しては、達成したい数値を設定してください。数値化できないことに関しては、明確に達成とわかるような目標を立てましょう。
計画ではなく目標です。この目標によって、どれほどの意欲があるかも評価されます。低い目標では、やる気も感じられないですからね。
達成できるかできないか。頑張って努力すれば達成できる範囲かもしれない。自分にとって意欲が出るような目標設定をしましょう。
前回の上司面談で計画や目標を立てていたでしょう。その結果について、実際に自分が実行したことや結果について、まとめておいてください。
計画通りに業務を遂行することができたか。また計画から外れてしまった部分とその理由についても自分なりに分析しておきましょう。
続いては目標の達成ができたかどうか。もし達成できなかった場合は、何が足りなかったのか反省や改善点まで考えておいてください。
個人的な今後の課題についてまとめます。今期やってみて良かったことは次期でも引き続き継続していく意思を示しましょう。
反対に失敗したことから反省や改善を考えて、次期の課題にします。最終的に自分が今後どのように仕事に取り組んでいくのかを上司に提示できるようにしてください。
組織貢献について
会社員である場合は、個人だけの業務ではなく組織として動くことも必要です。そこで組織の貢献度についても振り返りをしておきましょう。
組織貢献とは、上司や組織からの要求・命令に従うことです。そして結果や成果を出すことになります。その度合いが組織貢献につながるのです。
また個人的な仕事に対する価値観も、組織に合わせていく力も必要です。会社・組織が何を目指しているのか、どんな人材を求めているのかを今一度見直してみましょう。
達成レベルとして、要求・命令通りに遂行することはレベル2ほどです。自分の意志とは異なっても組織に合わせて行動している場合はレベル5ほどになります。
最高レベルとしては、組織全体の利益を考えることです。そして社員に組織のニーズを理解させて、仕向けていくことでしょう。
自分がどこまで組織貢献をしたのかを、達成レベルで自分なりに分析しておいてください。
実際に紙に書いてまとめる
計画・目標・達成度などは、頭の中でまとめておいても意味がありません。実際に面談のときになると頭の整理がうまくできなくなってしまいます。
そこで項目ごとに紙に書いておきましょう。上司がどのような面談をしても、それに応じて自分なりの返答ができるようにしておくことが最適な準備です。
上司との面談:質問例
上司との面談では、多数の質問をされます。基本的な質問内容は、毎回誰に対しても同じです。少し角度や言い方を変えているだけなので冷静に質問の意図を分析してください。
ここからは想定される質問を例にあげて紹介します。自分なりの言葉で返答ができるようにしておくと良いでしょう。
個人目標について
【今期の目標は何か?】
【なぜこのような目標を設定したのか?】
【目標を達成するために必要なことは何か?】
【現状の能力・環境で目標達成に困難な点とは何か?】
【現状の課題とは何か?】
【課題解決に向けての方法とは何か?】
個人目標を『なんとなく』設定している人もいます。しかし上司は目標について具体的な意図を探ろうとするでしょう。
そこできちんと目標の意味・意図を自分なりに返答できるようにしてください。それだけで上司に与える目標の重みが変わってきます。
また『目標』『問題』『課題』といった言葉が混雑している人がいます。それぞれ意味が異なるので、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。
まず目標とは、『目的を実現する期間やレベルを明確にしたもの』です。わかりやすく例をあげて説明していきます。
■フルマラソンを走る
目的⇒42.195㎞の完走
期間⇒5時間
目標⇒最初の〇〇地点には1時間で到着・次の〇〇地点には3時間で到着・ゴールを5時間以内
■ビジネス
目的⇒利益を出す
期間⇒今期
目標⇒今期中に〇円の売上・まず〇月末までに〇円の売上を達成する
このように最終的に目的を達成させるまでの過程が目標です。目標を積み重ねて、目的を果たすというように考えると良いでしょう。
ちなみに『方針』とは、物事の方向性です。個人ではなく、会社や部署で同じ方向を目指すためのものですので、混同しないようにしてください。
ビジネスにおける問題とは、『会社にとってマイナスとなる事実』のことです。
たとえば、
【ミスが多い】
【新人の離職率が高い】
【コストがかかる】
というような内容が問題といえます。
問題というのは、事実そのものです。現状おこっている実態が問題ということになります。問題と課題を=で考えて問題点を課題で言う人がいますが、これは間違いです。
課題とは、『問題に対する改善策・解決方法』です。問題が事実そのものであるのに対して、課題は具体的な行動となります。
たとえば、
【ミスが多い】⇒【定期的にマニュアル勉強会を実施する】
【新人の離職率が高い】⇒【配属部署の適正を再度見直す】
【コストがかかる】⇒【削減できるところを見つける】
この問題から導き出した解決方法となるのが、課題です。
つまり課題について返答するときには、問題となっている事実も一緒に提示すると良いでしょう。そのうえで、なぜ解決方法として設定したのか理由も述べるようにしてください。
振り返りについて
【今期の目標の達成率や成果はどのようなものか?】
【目標に対してどのように行動しアプローチをしてきたか?】
【成果が出た・もしくは出なかった原因や理由は?】
【今期で一番成功した手応えのあった仕事とは?】
【今期で一番失敗した手応えのなかった仕事とは?】
【設定した目標について自分に適切であったか?】
【目標達成に向けて会社からの支援や働きかけはあったか?】
【組織貢献は何をどれくらいしたのか?】
【現在の自分の優れている能力とは何か?】
【現在の自分の改善すべき点とは何か?】
【今後身につけたい能力とは何か?】
【来期に向けて挑戦してみたいことはあるか?】
前回の上司面談で設定した目標や課題に対して、どのような結果となったのかの質問です。この振り返りは、直近のボーナスや給与査定に大きな影響がある部分でしょう。
すでに結果は出ていることなので、変えることはできません。もちろん嘘や見栄を張るのもNGです。すべてを正直に話すことになります。
しかし話す内容や意気込みによって、評価は変わります。必ず自分の目標について、時間をかけて事前にフィードバックしておきましょう。
目標達成をしていなかった場合でも、原因が明確で改善策まで考えられていれば評価は上がります。反対に目標達成していても原因がわからないのであれば、偶然だったと評価が下がるでしょう。
自分の目標をどれくらい意識・理解して仕事をしていたのかが重要です。そのために曖昧にする項目がないように、しっかりと返答してください。
能力・キャリア開発について
【自分の強みと弱みは何か?】
【なぜそのように考えるのか?】
【強みを伸ばすために会社に希望する支援はあるか?】
【弱みに対する対処法はあるか?】
【能力開発のために工夫していることはあるか?】
【どのようなキャリア形成を視野に入れているか?】
【キャリア形成に必要なことは何か?】
【今の仕事や業務へのモチベーションはどれほどか?】
【他の仕事への興味や意欲や希望はあるか?】
【今の立場以上の役割を持つことへの責任についての考えは?】
【社内で最終的に目指すこととは?】
【社内で最終的に見据えているポジションとは?】
【現状や周囲の人間関係はどうか?】
【現状自分の能力が活かされていると感じるか?】
【仕事そのものにやりがいを感じているか?】
【仕事の量や質は適切か?】
【毎日の仕事に新鮮さや刺激を感じることはあるか?】
能力開発・キャリア開発とは、言葉通りに労働者の能力をどのように開発していくのか考えることです。これは中長期的なものであることがほとんどでしょう。
この質疑応答によっては、人事異動や昇格などがおこなわれます。希望していることがあれば、明確な返答で伝えるようにしましょう。
ただし現状についてマイナスなことを伝えるのではなく、あくまでも前向きに発言してください。異なる視野や視点で多くのことを学びたいという意欲を見せていくと良いです。