他人の善意を悪意にとる
卑屈な態度をこじらせると、他人の善意を悪意にとってしまうようになります。ひねくれ者の中でも、かなり対応に困る部類の人たちです。
「何もかも自信がない」フリをしているうちに、自己評価がかなり低いところで固まってしまいます。プライドが高いひねくれ者の場合と、ちょうど逆の現象が起きています。
極度に低い自己評価は「自分を気にかけてくれる人など、いるはずがない」という思い込みを作り出します。すると、誰かの善意が向けられても、信じることができなくなるのです。
たとえば、職場で同僚のちょっとした雑用を手伝ってあげた場合を考えてみましょう。たまたま手が空いていたので、純粋な善意から手伝ってあげたとします。
しかし、ひねくれ者の同僚はお礼を言うどころか、「どうせ私の仕事が遅いのが我慢できなかったんでしょ」などと言ってきます。善意で手伝ってあげたことが信じられないのです。
それどころか「あとで課長に告げ口でもするんでしょ」などと追い打ちをかけるようなことを言ったりもします。恩をあだで返してくるのです。
卑屈な態度が、攻撃的にエスカレートしてしまった状態です。せっかく善意で何かしてあげても嫌な気持ちになるだけなので、周りからどんどん人がいなくなります。
コミュニケーションが深まらない
ここまで解説してきたように、ひねくれ者は、さまざまなやり方で自分の気持ちを隠そうとします。本心とは異なる自分を演じようとします。
そのため、他者とのコミュニケーションがなかなか深まりません。自ら腹を割って話そうとしないので、他者からの信頼を得ることができないのです。
たとえば、あなたがひねくれ者の同僚から、珍しく悩みを相談されたとします。しかし、奥歯にものが挟まったような言い方しかしてくれません。本心を隠そうとする癖が抜けないのです。
悩み相談を受けるには、本音で話してもらわなければなりません。本音で話してくれないと、悩みの全体像をつかむことができません。
あなたも相談にのりたくても、全力で答えてあげることはできないですよね。結局、ひねくれ者の本音を隠したコミュニケーションの取り方では、人間関係を深めることができないのです。
人間関係が深まらない以上、ひねくれ者が自信を持つ機会はますます遠ざかります。その結果、ひねくれ者の心はさらにひねくれていくという悪循環に陥ってしまいます。
照れ屋なだけ
一方「ひねくれ者」といっても、ごくごく軽度な人もいます。性格が照れ屋なだけで、何か重度のコンプレックスを持っているわけではありません。
たとえば、年配の夫婦を考えてみましょう。夫は昔ながらの男性なので、気持ちをストレートに表現することを照れてしまいます。妻からの愛情に対して、ついひねくれた態度をとってしまいます。
しかし、夫の照れ屋な性格を熟知している妻は、夫の表面的な態度の裏にある本心を見抜くことができます。また夫の方も、本心を病的に隠しているわけではありません。
ひねくれ方が軽微で、周囲の理解もあるような場合は、健全な人間関係を作っていくことができます。
ひねくれ者への4つの対処法とは?
内心を探る
ひねくれ者は、常に本心を隠そうとしています。本心の隠し方は人それぞれです。ただ、隠し方が下手な人がいます。本音と真逆のことを発言しているだけの人です。
たとえば、ひねくれ者に誕生日プレゼントをあげても、喜んでくれないことがほとんどです。しかし中には、本音では喜んでいることがバレバレの人もいます。
プレゼントをくれた人に対して笑顔を見せず、感謝の言葉も口にしません。なのに、もらったプレゼントを何度も手に取るなど、実は嬉しそうな素振りを見せます。
ひねくれ方が分かりやすいので、言うことと態度が異なるのです。口に出している言葉や態度を真に受けず、本音では喜んでいるのだと判断すればいいのです。
ひねくれ方が単純な人は、思考回路も単純です。ひねくれているように見えて、実は扱いやすい人たちです。
ひねくれキャラを我慢してあげる
軽度のひねくれ者に対しては、表面的な言葉の裏を取るのと並行して、ひねくれキャラをそのまま受け入れてしまうのも有効です。
ひねくれ方が単純な場合は、言葉の裏を取れば本心が分かるので、ある意味考えの分かりやすい人だと言えます。すぐに本音が透けて見えるので、可愛らしさすら感じるものです。
そこで、「愛すべきひねくれ者」として受け入れてあげるのです。ひねくれ者の側も、受け入れてもらえた安心感から、徐々に心を開いてくれることが期待できます。
たとえば、家族の中に反抗期の男の子がいる場合を考えてみましょう。反抗期の男の子は、ひねくれた態度をとりがちです。
ただ、男の子のひねくれた態度の裏には、家族に愛してほしいという願望が透けて見えるものです。家族の方も、男の子の真の願望を知っています。
そこで家族としては、反抗期という一過性のひねくれキャラとして、男の子の態度をまるごと受け入れてあげるのです。家族の気持ちが徐々に伝わることで、男の子の反抗期も解消されていきます。
深く相手にしない
一方、重いコンプレックスを抱えたひねくれ者とは、人間関係を深めるのが困難です。卑屈な人もプライドが高い人も、根本にある自信のなさを改善しない限り、本心を隠したままだからです。
そこで、浅い付き合いにとどめることを意識するのが有効です。卑屈だったりプライドが高かったりして、重度のひねくれ方をしている人とは、関係を深めようとしないのが上手に付き合うコツです。
たとえば、いつも「私なんか仕事ができない」と言って卑屈な態度を見せる、重度のひねくれ者が同僚にいるとします。ネガティブ発言ばかりなので、職場の雰囲気を悪くします。
ただ、良かれと思って励ましてあげても、逆効果になることがほとんどです。卑屈なひねくれ者の同僚にとって、励ましに乗ることはリスクでしかないからです。
励ましに乗って一生懸命に努力しても、結果がともなわないかもしれません。しかし、ひねくれ者の同僚は「努力が実を結ばない」ということを、仕事のミスそのものよりも恐れているのです。
ひねくれ者の同僚にとっては、後ろ向きな気持ちで仕事に取り組んでミスをする方が、よっぽど安全に思えます。励ましの言葉を素直に受け止めることはありません。
重度のひねくれ者を励まそうとしても、徒労感に苦しむだけで終わりかねません。ポジティブになれない可哀想な人だと割り切ってしまう方が、精神衛生上も楽です。