部下の悩みをうまく聞く方法
月1で面談する
急に部下から悩みを聞こうとしても、悩みを話してくれる人はいないでしょう。そこで定期的に面談して、少しずつ心を開いてもらえるようにしてください。
少なくとも月に1回ほどの面談は必要です。忙しくても必ず面談をするようにしましょう。最初は世間話だけでも良いので、心の距離を近づけていくのです。
何度も面談をしていると、『いつもと様子が違う』ということに気がつきます。そこで悩みや困っていることがないか聞いてみてください。
無理矢理にしつこく聞く必要はありません。もし部下が「大丈夫です」と言ったのであれば「いつでも言ってね」と笑顔で応対しておきましょう。
自然なヒアリングをする
悩みを聞きだそうとするあまりに、グイグイ責めてはいけません。悩みを聞く気が満々だとわかると、反対に言えなくなってしまうものです。
そこで自然にヒアリングするようにしましょう。だいたい悩みの種がわかっていることもありますよね。仕事なのか人間関係なのかと悩みの目星をつけて話してください。
「今進めている仕事の取引先は気難しいよね?」
「最近みんなで飲みに行ったりしているの?」
このように部下が自然と悩みを言いやすいようなヒアリングをしましょう。きっかけを作ってもらうことで、部下も伝えやすくなるものです。
まずは否定せずに肯定する
部下の悩みをうまく聞く方法としては、必ず否定をしないということです。勇気を出して悩みを打ち明けたのに、それを否定されては部下に傷をつけてしまい心を閉ざしてしまうでしょう。
悩みを聞いている人にとっては、些細なことや理解できないこともあります。しかし悩んでいる本人にとっては、頭や心を埋め尽くしていることなのです。
「朝起きられなくて毎日悩んでいます」という子供のような悩みでも、いったん肯定してあげてください。
「朝は誰でも辛いよね」
「私も昔は朝起きられなくて」
このように肯定して同意します。そのうえで何か自分がしていることがあれば、伝えてみると良いでしょう。
「私は目覚ましを等間隔に3つ5分おきになるようにしているよ」
あくまでアドバイスや強要ではなく、自分はこうしていると言うと良いです。そうすると部下も悩みが言いやすくなるでしょう。
目を見て頷く
悩みを話しているとき、部下はとても不安や緊張をしています。自分の悩みを話すというのは、心のうちをさらけ出す怖さがあるのです。
そこで部下の目を見て、深く頷くようにしましょう。
『聞いているよ』
『わかるよ』
そんな気持ちを目に込めてください。ただ黙ってした向いて聞いているだけでは、部下は自分の悩みを言えなくなってしまいます。
話しやすいような受け入れ姿勢を整えて、不安を取り除きながら聞いてあげることが大切です。悩みを打ち明けやすくなるでしょう。
基本的には聞くだけで良い
部下が悩みを打ち明けてくれたとき、上司としてどんなアドバイスをするべきか悩みますよね。人生経験から良いことを言わなくてはと考えるでしょう。
しかし的確なアドバイスは必要ありません。上司という存在に聞いてもらうだけで良いのです。悩みを打ち明けた時点で、悩みの半分は解決に向かっています。
悩みを聞いているとき、頭の中でアドバイスの言葉を考える人は多いです。しかしそれよりも最後までしっかり悩みを聞くことのほうが大切です。
ねぎらいや感謝をする
悩みを打ち明けた部下に対して、ねぎらいや感謝の言葉は大きな力になります。アドバイスではなく、このような言葉を伝えると部下の心の負担が軽くなるでしょう。
「大変だったね」
「話してくれてありがとう」
「いつも頑張ってくれて助かっているよ」
上司にねぎらいや感謝の言葉をかけられると嬉しいものです。悩んでいたことが、小さいことのように感じられるものです。
悩みというのは、『わかってほしい』という気持ちがあります。とくに上司に打ち明ける場合には、共感を強く求めるものです。
だからこそ共感や理解をしたうえで、ねぎらいと感謝をしてください。
質問には本音で返答する
悩みの中で、部下自身から上司に質問することもあるでしょう。質問する場合は、自分の悩みの答えを見つけたいと考えている証拠です。
もし部下から質問があった場合、上司としてどう返答するのか正しいか考えますよね。しかし正しい答えである必要はないのです。それよりも本音で話すことを重視してください。
たとえば、
「仕事を辞めたいと思ったことはありますか?」
「会社に苦手な人はいませんか?」
「今の仕事は好きですか?」
などと自分が考えていることを上司に質問してくることもあります。
模範的な返答をするのであれば、
「仕事を辞めたいなんて思わない」
「会社に苦手な人はいない」
「今の仕事は最高に好きで誇りを持っている」
となるのかもしれません。
しかし模範解答では、部下の心に何も響きません。それよりも本音で自分の経験してきたことも含めて応えたほうが良いのです。
それが部下に良い返答になるかはわかりません。余計に悩ませてしまうことになるかもしれないでしょう。それでも嘘ない答えをすることが一番です。
自分が出来ることを伝える
もし部下の悩みが上司に何かを求めている内容であれば、返答も変わってきます。あえて上司に相談しているような内容もあるでしょう。
「今任されている仕事の負担が大きい」
「仕事バランスが人によって違いがある」
「先輩に目の敵にされている」
部下の悩みだからといって、何でも応じることはありません。しかし内容によっては改善の余地もあるはずです。
部下は悩んでいるのですから、スルーせずに事実確認をしてあげると良いでしょう。まずは『確認しておく』と伝え、口だけではなく行動に移してください。
対処できることとできないことを明確にして、改めて部下に伝えると良いです。
「○○の件は、私の配慮不足で申し訳なかった
すぐに対処したので様子をみてほしい
ただ○○に関して全員条件は同じだから頑張ってほしい
そのうえで何かあればすぐにまた教えてほしい」
自分の悩みを上司がきちんと考えて行動してくれたことに、部下は信頼感を持ちます。甘やかすわけではなく、対応できることは行動するようにしてください。
部下の視点になって考える
部下の悩みについて考えるときには、部下の視点になって考えるようにしましょう。同じ位置に立ってみることで、見え方は大きく変わります。
たとえば、
『あと何時間歩けば山頂に着きますか?』
という質問があった場合を考えてください。
これは相手が子供・男性・女性・老人なのかによって答えは変わりますよね。若い男性なら3時間でも、子供連れなら6時間かかることもあるでしょう。
つまり立場や能力や抱えているものも含めて、部下の立場になることが大切です。その部下の視点で物を見るようにしてください。
本の名言を活用する
本を多く読んでいると、パワーをもらえる言葉にめぐりあうことができます。そこでいくつかの名言を書きとめておき、部下にも伝えてあげましょう。
【自分が出したアイデアを
少なくとも1回は人に笑われるようでなければ
独創的な発想をしているとはいえない】
ビル・ゲイツ
もし上手くいかなくて悩んでいる部下がいれば、成功者の名言で勇気づけてください。自分もこの言葉でパワーをもらっていると言ってあげると良いでしょう。