部下の本音を引き出す方法
聞くということを重視する
本音を聞きだすのは、家族や友達でも難しいですよね。人は無意識に本音と建前を使い分けて生きているものでしょう。
そこで、まずは『聞く』ということだけを意識してください。アドバイスや同意も否定もせずに、ただ部下の話を聞くのです。
まさに【傾聴】という言葉を実践しましょう。傾聴とは、熱心に相手の話に耳を傾けることです。話している内容や表情や声のトーンも含めて、すべてを受け入れます。
ただ黙ってきけばよいというわけではなく、理解を深めることがポイントです。簡単なようで難しいことですが、気持ちをも高めて話しを聞くようにしましょう。
傾聴をしてもらえると、話し手は気持ちよく話すことが出来ます。そうすると少しずつ心の底にあったものも外に出そうとするのです。気がつくと本音を話してしまうこともあるでしょう。
味方であることを伝える
当然のことですが、自分の敵に本音を語る人はいませんよね。敵であれば、自分が有利になるように嘘をつくことだってあるでしょう。
本音を言う相手は100%自分の味方であると信じている人です。それこそ自分の父親や母親のような絶対的な存在でないと本音を話すことはないでしょう。
部下の味方だと伝えるには、いくらかの時間が必要です。信頼の積み重ねが最終的に味方という存在につながるのです。
ミラーリング
本音を聞きだしたいときには、相手を真似るミラーリングをすると良いです。表情や仕草や声のトーンやスピードをすべて合わせてみてください。
部下が泣きそうな顔をしたら、同じように泣き顔になる。
部下が水を飲んだら、同じように水を飲む。
部下が低いトーンでゆっくり話していたら、同じように低いトーンでゆっくり相槌をうつ。
ミラーリングをするだけで、自分の同志であるように心が安心してきます。そして少しずつ心を開いて、本音を見せてくれるのです。
自分の本音を見せる
上司が建前ばかり言っていては、部下の本音を聞きだすことはできません。まずは上司自ら本音を話すようにしてください。
上司の本音を聞くことで、部下も本音を見せてくれます。むしろ本音で向き合わなければ失礼だという気持ちになるものです。
「ここだけの話なんだけど、実を言うとさ・・」と前置きして話しましょう。そして本音をこっそり伝えてください。
何を聞いても動じない
部下の話に一喜一憂したり、驚いたり反論したりと感情の起伏をさせないようにしましょう。部下にとって上司は、何でも受け入れる大きさがないと話にくいと感じてしまいます。
どんな話であっても大きく表情は変えずに『なるほど』と伝えましょう。そうすることで部下も何でも話せる安心感を持ちます。
部下の本音には、驚くようなことや怒りを感じることもあるかもしれません。しかし感情は出さずに、何でも受け入れるようにしましょう。
一般論から聞き出す
本音を聞きだすときは、相手の真意に迫ると答えに嘘が出ることがあります。そこで一般論という言葉で本音を導くようにしましょう。
たとえば夫婦で話していて「あなた浮気したことある?」と夫に聞いたとします。この質問では100%「したことない」と回答するでしょう。
そこで「一般的に世の中の旦那は浮気するもの?」と聞いてみてください。そうすると『一般論』というフィルターがあることで本音が聞けることが多いのです。
「一般的に男なら浮気するだろ」と返答した夫は、残念ながら浮気経験ありか浮気願望がありでしょう。「普通はしないだろ」と返答した夫は今後もしないはずです。
これはカウンセリングでも用いられています。部下にも一般論として質問をすることで、本音を探ってみると良いでしょう。
横並びで飲む
本音を聞きだそうとするとき、会議室に呼び出して対面して話していても難しいものです。緊張感があるので本音を語ることはないでしょう。
本音を聞くには、環境や雰囲気も大切です。大衆居酒屋などに入り、少しお酒を飲みながらコミュニケーションをとるようにしてください。
席も対面より横並びの方がリラックスできます。カウンターなどで飲みつつ、本音を聞きだすようにすると良いでしょう。
前向きな意見を求める
本音と建前がなぜ存在するのかというと、人の心や空気を読んでいるからです。『こう言った方が傷つけない』『今はこの言葉が適切』と考えています。
たとえば上司が『私の指導は適切か?』と聞いたとします。おそらく全員が『適切だ』と返答するでしょう。これは上司を傷つけたり怒らせないための建前です。
そこで『部下たちに成長してもらうために、もっといい指導方法はないかと悩んでいる』と言ってください。そうすると『それなら・・』と本音を少し出してくれるはずです。
部下が本音を言うことで、プラスになるということを前置きしてください。そうすれば建前を取り除いて話してくれるようになるのです。
部下と本音で向き合うこと
年齢や立場も異なると、部下の悩みを知るのも難しくなります。しかし上司であれば、部下の悩みを聞いてあげるのも任務の一つでしょう。
なかなか悩みや本音を引き出すのは難しいものです。しかし、向き合おうとする気持ちがあれば、部下も少しずつ心を開いてくれるものです。
部下の性格や考えられる悩みに合わせて、上手に悩みを聞いてください。自分を軸にしたり、他の部下と比較しないことも必要ですね。
また悩みや本音というのは、人の心の裏側にあるナイーブなものです。もし打ち明けてくれたときには、きちんと受け止める覚悟をもって聞くようにしてください。