いざ、離婚をしようとなったときに、まずは夫婦で話し合いから始めなければいけません。日本の離婚は9割が協議離婚、つまり話し合いによる離婚なのです。
ですが、実際に離婚を経験したことのある方は少なく、ほとんどの方が初めての離婚です。当然離婚の話し合いなどしたこともないので、どうやって進めていいのか分からなくなります。
離婚の際には、様々な問題点や、決めておくことなどが出てきます。お金のこと、子供のこと、しっかりと話し合っておかないと後々にトラブルになりかねないことばかりです。
離婚自体は離婚届に夫婦と証人2人の署名があれば、法律的には離婚が成立します。これだけ聞くと実に簡単なようにも思えます。
しかし、そもそも離婚することについてのお互いの合意や、親権、養育費などの様々な離婚条件を決めないといけません。それは、言葉でいうほど簡単ではありません。
ほとんどの場合で夫婦の意見がズレているからです。どちらかが歩み寄らないと話し合いは平行線をたどってしまいます。
できるだけ早く離婚を成立させるために、離婚の際の話し合いの進め方を紹介していきます
離婚の話し合い7つの進め方とは?
あらかじめ話す内容をメモして用意しておく
何の準備もなく、いきなり離婚の話を進めようと思っても、何から始めたらいいのか分からず、アタフタしてしまいます。
いざ、離婚の話になると夫婦間で言い合いになったりして、冷静な判断ができなくなるおそれがあります。そこで、絶対に話さなければいけないことなど、あらかじめメモしておくのです。
たとえば、慰謝料のこと、親権、養育費、財産分与、ローンや借金などのことです。実際には決めなければいけないことが多くあります。
しかし、メモがあれば自分の頭で整理して落ち着いて話を進めることができます。こういった大事な話の時こそ、冷静な判断が必要です。
話し合いになって頭がパニックにならないように、分かりやすく順序立ててメモにしておきましょう。
話し合いに第三者を入れない
離婚の話し合いをする際に必ず夫婦だけで行うようにしましょう。話し合いをする際に、両親を交えてする夫婦がいますが、絶対にやめてください。
夫婦だけで話すのが不安な気持ちは分かりますが、両親を入れては平等な話し合いはできません。いつの時代も親は自分の子が1番可愛いのです。
ですから、相手を批判たり、自分の子に味方したり、孫に会えなくなるのを阻止しようとします。もう一方の両親も同じような行動をとり、話し合いどころではありません。
このように、両親が話し合いに入ることで余計にこじれます。夫婦のことですから、夫婦が決めるのが1番です。2人で話し合いに両親は入れないと決めておきましょう。
夫がもし自分の両親を呼びたいと言ってきても、断固拒否するようにしてください。
夫の悪事を証明する証拠をとっておく
離婚の原因が夫にあった場合は証拠をとっておくようにしましょう。証拠というと裁判で必要になるイメージがありますが、協議離婚の場合でも切り札になります。
話し合いに際に、あなたが証拠を握っておけば夫は弱気になります。証拠があるのだから、認めるしかない、もし裁判になっても不利になると思わせることができます。
このように、証拠はあなたの切り札として夫への心理的圧迫に役立つのです。仮に裁判までいったとしても、証拠がなければ間違いなく勝てません。
不貞行為であれば、メールの内容なども証拠になります。もし決定的な証拠がないのであれば、話し合いの際にレコーダー等で録音しておくのもいいでしょう。
話し合いの中で上手にあなたのペースに持っていってください。
ドア・イン・ザ・フェイスをつかう
ドア・イン・ザ・フェイスとは心理学では有名ですが、本当の要求を通すためにあらかじめ無理な要求をしておくというものです。
離婚した後も子供のいる女性にとっては養育費などは非常にシビアな問題です。できれば、1円でも多くもらいたいと思う方もいるでしょう。
たとえば、相場が5万円だとして3人いるから最低15万円が欲しいと思っていたとします。でも夫には、あえて「1人7万円で21万円は欲しいな」と伝えます。
そこで夫がそれは高すぎて無理と言ってきたら、「じゃあ私も折れるから15万でいいよ」と言います。すると、それくらいなら大丈夫となりやすいのです。
人は一度断ると次は断りにくいと思うようになります。このように一度相手に断らせておいてその後に本当のお願いをすると、要求が通りやすくなります。
相手からしても、自分の要求が通ったと感じることができるので、良い気分なのです。
お互いに譲歩する姿勢を持つ
離婚のときの条件など、なるべく相手側に一方的に不利な内容に見られないようにすることがポイントです。
女性にとっては、離婚後のお金のことは非常に重要なのでしっかりと話し合いをしておきたいところです。おそらく要求したいことも山ほどあるでしょう。
それでも、話し合いを進めるときは、なるべく平等になるように見せることが重要です。離婚はお互いの合意なので、一方的な意思表示は通じません。
「貯金はあげるから不動産はもらうね」、「慰謝料はいいから、養育費はちゃんと払ってね」のようになるべく平等を装います。
一方的に、自分の要求ばかりを押し付けると、相手は自分ばかりが損をしていると思い、なかなか離婚に応じてくれません。要求するところは要求して、ある程度譲歩していきましょう。
お金の話は必ずしっかりと決めておく
離婚後に最もトラブルとなるのが、お金の問題です。お金のことと言っても、養育費や、財産分与、住宅ローン、慰謝料など様々なものがあります。
要するに、離婚した後に払ってもらうようなお金です。離婚した後で、話し合いをしようと思っても、そもそも話し合いに応じてもらえない可能性もあります。
離婚してしまえば、赤の他人ですので夫には婚姻費用のように、あなたにお金を使う義務はなくなります。ですので、あらかじめきっちりと話し合って決めておく必要があります。
養育費や慰謝料などの相場が分からない場合は、無理に決めずに専門家に相談するのも手です。弁護士等の専門家に話し合いの間に入ってもらうという方法もあります。
そうすると、夫も専門家の言っていることなら納得してくれる可能性が高くなります。また、あなたの要求は話し合いの日まで一切夫には喋らない方がいいでしょう。
あなたの要求を知って、夫が財産を隠したり、処分してしまう可能性があるからです。
決めたことはきちんと公正証書にしておく
離婚の話し合いで多くのことを決めますが、その内容は離婚協議書に残しておくようにしましょう。離婚協議書とは、離婚協議で決めた内容を書面にしてお互いが署名押印したものです。
これがあると、後に言った言わないの話になるのを防ぐことができます。たとえば、養育費を払ってくれなくなった時に、証拠になるのです。
また、できればこと離婚協議書は公正証書にしておくといいでしょう。公正証書にしておくことで、この書類の存在を国が証明してくれます。
通常、相手が養育費を払ってくれない場合、給料を差し押さえたりする手続きをするのに、裁判で勝たなければいけません。しかし、裁判というのは手間も時間もかかります。
そこで、公正証書があれば裁判を経ずに、直ちに強制執行の手続きをすることができるのです。よりスムーズに夫から債権を回収することができます。
離婚したいからと焦ってはダメ
離婚の話し合いと言っても、非常に多くのことを決めないといけないことが分かっていただけたはずです。
とりあえずすぐに離婚したいからといって、ろくに何も決めないで離婚をすると必ず後で後悔をします。離婚後に最後に苦労をするのは女性なのです。
離婚後に養育費を支払ってもらっているのは、実に2割程度なのです。その原因は、上記でもお話しした離婚協議書を作っていないことがあげられます。
離婚のときに、相手のことを信じているからと、口約束だけで済ましてしまう女性も多くいます。しかし、離婚後は相手もその先の未来があり、再婚したりと状況が今とは変化します。
それと同じように、あなたにも未来があります。数年後は今とは大きく状況が変わっていることでしょう。先のことは誰にも分からないので、今の感情だけで生き急いではダメです。
離婚の話し合いは、きちんと順序を踏んで冷静に判断していく必要があります。2人だけで話し合う自信がないときは、利害関係のある人間ではなく、弁護士等に間に入ってもらいましょう。
離婚するとしても、お互いの幸せの為に有効な別れ方ができるようにきちんとルールを決めて進めていってください。